黒巖山満願寺と黒岩虚空蔵堂です。

「お寺の建立の詳しい時は定かでないらしいが、今から約千五百年前 弘仁二年 嵯峨天皇の命により蝦夷平定のため「山中大納言植久」が都に凱旋するのに先立ち、自らの持仏「虚空蔵尊像」を黒岩の地に安置して、陸奥の鎮守とした。現在の虚空蔵尊堂は寛永十一年(1634)七月二十三日に上杉定勝と古川善兵衛によって再建されたものである。 」ということです。

樋水という辺りから東に向かって目指したのですが,丁度そこに案内が立っていました。
そして,旧参道の処にも案内や石灯籠があります。
現在の参道の辺りには,碑もあります。
さて・・・・丁度,雨上がりでほんの少し家並みの途沿いから参道に入るだけで,山深く入りこんだような様子になります。

山門は,歴史を感じさせてくれますし,旧参道もまた深い木々の緑と,丁度雨上がりの湿気の中で,止まってしまった様な時間を物語っているようです。
伽藍はそれほど大きい訳でもなく,また,中庭も,また,鐘楼も大掛かりではありません。・・・それなのに・・なんだか,心が清められる佇まいを見せていました。
少し奥へ向かうと観音堂があります。

「満願寺は一般には「黒岩虚空蔵」と呼ばれ、古くから虚空蔵信仰を集めています。江戸時代の福島藩主であった上杉氏、堀田氏、板倉氏らの寄進による美術品や工芸品も数多く残っています。」
「境内からの眺めがよく、阿武隈川の清流と渓谷の断崖や奇岩怪岩が望めます。」---ということだったのですが,確かに,市街地に近いのに,ここの阿武隈川の周辺は,山奥の流れの様!   そして,この日は,台風でによってもらたらされた豪雨で,水嵩が増し,濁流になっていました。ゴオゴオと流れの音もすさまじいものがありました。
されに奥に向かうと,黒岩虚空蔵堂があります。
説明に拠りますと・・・・・・・

「丑寅の神様として有名な黒岩虚空蔵尊。冬の例祭では、13詣りといわれ、男女13歳になると虚空蔵様に詣り知恵をもらうという風習があり、子供の身体健護と学問成就を祈願します。また、本祭りの夏祭りでは知恵や子宝を授けるとして参拝者が訪れます。」
黒岩虚空蔵堂の横の胎内くぐりの近く,丁度,堂の裏手辺りからは,十六羅漢が並んでいらっしゃいました。

十六体・・・すべてにお参りしてきました・・・様子を参照してみてください。
山肌の中で思い思いのお姿でいらっしゃる羅漢・尊者の方々・・・。

祈りの想いが永劫にわたって伝わる様です・・・。

岩の上で阿武隈の流れを見つめていらっしゃる様でもあります。
十六の尊者が見守る丘陵の斜面と虚空蔵堂の間に,明王殿があって不動明王がいらっしゃるそうです。
深い緑と過ぎ去りし昔の人の想いに,蒸し暑さも濁流の轟音も忘れて,心洗われる時間でした。